母子家庭への偏見に立ち向かう知識:シングルマザーは気持ち悪い

母子家庭 偏見

3組に1組の夫婦が離婚していると言われている時代。離婚するのはさほど珍しくないはずである。それなのに母子家庭に対する偏見は社会に深く根差している。その背景には、母子家庭であることによる経済面の困窮や子どもに対する愛情不足、ひどい場合には虐待やネグレクトを疑われるパターンもある。

実際問題として、子ども虐待のニュースでは「母子家庭」がほとんどを占める。もちろん母子家庭の全員が子どもを虐待しているとは思わないが、現実に子どもがひどい目に遭っているニュースが絶えない内は、母子家庭への偏見も収まらないだろう。

そこで、母子家庭への偏見が起こる理由やそれによる弊害、母子家庭に対する偏見に立ち向かうためにできることを解説しよう。母子家庭への偏見に悩む人はぜひ最後まで読んでいただきたい。

記事の内容

  • 母子家庭の偏見とは
    「性格に難あり」と決めつけられる
    「生活が貧しそう」という偏見
    「子どもがかわいそう」と思われる
  • 母子家庭に対する偏見が強いとどうなる?
    シングルマザーだと正社員になれない
    シングルマザーは気持ち悪いと揶揄される
    母子家庭の偏見が強い人とは結婚できない
  • 母子家庭に対する偏見に立ち向かうには
    死別の場合
    離婚の場合
  • 母子家庭であることをカミングアウトするのもアリ
  • 偏見を避けるためには【子どもにマナーを身に付けさせる】
  • 総括

執筆:NAKAGAWA
母子の絆:困窮する母子家庭の救済・一人親の支援

母子家庭の偏見とは

そもそも母子家庭への偏見とはどのような背景があるのだろうか。

ここでは母子家庭の偏見の内容について解説する。

夫と離婚して子どもを女手一つで育てることはとても大変なのに、分かってくれない周りはどんな考えを持っているのだろうか。

1つずつ具体的に見ていこう。

母子家庭の偏見とは

「性格に難あり」と決めつけられる

母子家庭に対する偏見として多いのは「性格面」である。子どもが小さい内だと特に偏見をもたれる恐れが強い。

「子どもがまだ小さいのに、もう少し我慢できなかったの?」
「そんなにひどい旦那さんだったらどうして結婚前に気付けなかったの?」
「そもそもあなたの性格が問題で離婚したんじゃないの?」
「旦那さんが愛想をつかして出ていったとか?」

このように、母子家庭というだけで色々と勘繰られてしまう。周りは母子家庭であることの大変さよりも、なぜ離婚したのか、本人の性格に問題があったからなのではないか。そっちの方に興味を引かれるのである。

余計なお世話だと思っても周りは好きなように想像し、好きなように噂するものだ。離婚が初めてであればまだしも、2回目、3回目と回数を重ねていくと「本人の性格の問題」という偏見の目も強くなる。

「生活が貧しそう」という偏見

母子家庭が偏見をもたれる理由としてもっとも多いのが「生活」「経済」などお金が絡むことである。離婚前は夫の安定した収入があったのに、離婚して母子家庭となると、世帯収入は大幅に減ってしまう。

もちろん別れた夫からの慰謝料や養育費だってあるだろうし、離婚して財産を分ければ今日明日の食事さえままならないなんて事態にはまずならない。それでも、母親一人の収入だけで子どもを育てようと思ったら、それなりのまとまった金額が必要となる。それを周りはどうしてもお節介な目で見てしまうのだ。

「きちんと三食食べさせているのか」
「大学はおろか、高校も通わせてもらえないんじゃないか」

これも余計なお節介なのだが、周りはやはり放っておいてくれないのである。

「子どもがかわいそう」と思われる

母子家庭に対する偏見は母親だけのものではない。子どもが偏見の目で見られることもあるのだ。単純に「かわいそう」と思われてしまう。何がどうかわいそうなのか分からないが、一昔前の考えだと「子どもは両親がいてこそ健やかに育つ」と言うのだ。

離婚した母親にしてみたら「あんな父親ならいなくて結構」という思いで決断したのかもしれない。それを外野が「父親がいないなんてかわいそうじゃない」とどうして決められるだろうか。

母親にしてみたら自分のことはどんな噂されようと耐えられるが、子どもがかわいそうという目で見られるのは我慢できない。しかし、それが母子家庭に対する世間のイメージであり、偏見の目を今すぐ無くすのは何とも難しい。

母子家庭に対する偏見が強いとどうなる?

母子家庭に対する偏見が強いとどのような弊害が起こるのだろうか。

ここでは偏見の目がもたらす出来事を詳しく解説していく。

子どもと2人で力を合わせて幸せになろうと思っていても、偏見の目が障害になることも起こり得る。

こういった事態の被害者になる場合もあるのだと肝に銘じておこう。

母子家庭に対する偏見が強いとどうなる?

シングルマザーだと正社員になれない

母子家庭に対する偏見は会社の中にも存在する。シングルマザーとして安定した収入を得るためにも、パートではなく正社員という働き方を選ぶ人は多いだろう。しかし、正社員になりたいからといって誰でもなれるのものではない。パートとは違いそう簡単には決まらないのだ。

正社員となれば安定した収入が確保できるが、その分責任が付きまとう。会社にしてみれば、毎月正社員としての給与や年2回のボーナスを支給しているにも関わらず「子どもが熱を出したので休ませてほしい」「授業参観があるので早退させてください」ということが続けば、正直やりにくい。

他の家庭持ちや独身の正社員はしっかり休まず働いているのに、シングルマザーだからといって特別扱いするわけにもいかない。

もちろん「困った時はお互い様だから」と手を差し伸べてくれる優しい会社も増えたが、世間的にはシングルマザーは正社員になれないというイメージがまだ根強く残っている。

シングルマザーは気持ち悪いと揶揄される

シングルマザーは気持ち悪いと揶揄される

シングルマザーだってたまにはおしゃれして息抜きを楽しみたい。他にも子どもの年齢にもよるが再婚を考える人もいるだろう。良い意味で「子どもがいない時間を満喫」していただけで、周囲からは「気持ち悪い」と非難されることがある。

例えば、ちょっとセクシーな服を着てインスタに投稿しただけで「母親として恥ずかしくないのか」「子どもがいるのにみっともない」と言われるのである。シングルマザーは着たい服も着てはいけないのか。子どものことを常に優先しており、たまの休みに少しおしゃれを楽しんだだけなのに。

夫がいれば「旦那さんとデートですか? ラブラブですね~」と言われるのに、シングルマザーは「気持ち悪い」と一蹴されてしまうとは。シングルマザーに対する風当たりの強さを感じてしまう。

母子家庭の偏見が強い人とは結婚できない

「母子家庭の人と結婚しても幸せになれない」これぞ偏見の中の偏見である。しかし、未だに世間ではこのような偏見が絶えない。なぜそんな偏見の目で見られてしまうのか。信ぴょう性はないものの、これが世間のイメージなのである。

  • 貧しい生活をしてきたから新しい夫に金銭をたかろうとしている
  • 子どもが十分な教育を受けていないのでマナー知らずで両親が手を焼く
  • そもそも子どもが懐かないので家庭環境に亀裂が入りやすい
  • 前回の離婚は母親の性格によるもので結婚してもまたすぐ離婚しそう

仮に本人同士が結婚を決意しても、相手の親や親せきに猛反対される恐れもある。結婚は本人たちの問題ではなく、双方の家族の問題でもあるのだ。

母子家庭に対する偏見に立ち向かうには

ここまで見て分かるように社会派はまだまだ母子家庭に対する偏見の目が強い。では、母子家庭はそういった偏見の目にただじっと我慢するしかないのだろうか。

結論から言うと我慢する必要はない。

母子家庭になった理由だってそれぞれだろうし、外野がとやかく言う権利はないのである。とはいえ、偏見の目が許せなくても感情に任せて怒り狂うだけでは、自分で自分を追い詰めるだけである。

ここでは母子家庭に対する偏見に立ち向かう方法をいくつか紹介しよう。

母子家庭に対する偏見に立ち向かうには

死別の場合

母子家庭になった理由が死別となると、世間の味方は変わるものである。離婚の時と違って「大変だね」「つらかったね」と気持ちに寄り添ってくれる人が増えるのだ。夫が病気や事故で亡くなった場合、世間はそこまで偏見の目をもつことはない。

ただし、夫が亡くなったことをあちこちに言い触らさない方が賢明である。相手の心証が離婚と比べて悪くならないのは確実だが、死別であることを必要以上に言い回ると「同情を引こうとしている」と、別の意味で偏見をもたれることになる。

死別したことを言うのは相手に聞かれた時、または誰かが自然の流れで言ってくれるのを待った方が良いかもしれない。

離婚の場合

離婚の場合

母子家庭の偏見が離婚の場合、相手の印象を変えるのは時間を要するだろう。3組に1組が離婚している時代とはいえ、やはり世間的にはあまり受け入れられているものではない。

  • 自分が原因の離婚の場合「性格の不一致が原因で別れた」
  • 相手が原因の離婚の場合「相手の浮気(借金・暴力)が原因で別れた」

自分自身の性格の問題や浮気・借金などが離婚の理由であっても本当のことを言う必要はない。「性格の不一致」とだけ言っておけば、相手も察してそれ以上探ることはないだろう。

反対に夫側の性格や浮気などの行動上の問題であれば、正直に言うのは構わない。とはいえ、どちらが原因であろうと偏見の目は必ずどこかに存在する。自分の直感で言わない方が良いと判断した場合は「性格の不一致で」と逃げるのが得策だ。

母子家庭であることをカミングアウトするのもアリ

母子家庭であることを先にカミングアウトしてしまうことで偏見の目を減らせる場合がある。下手に母子家庭を隠す方が相手の関心を引いてしまう。

「あそこ何だか母子家庭っぽくない?」「でも何でか隠してるみたいよ」「何かあったんじゃない?」と噂に尾ひれが付く場合がある。そのため、先回りして言うことで「やましいことはありません!」というアピールにもなる。

とはいえ、母子家庭であることを自らカミングアウトすべきか迷う人も少なくない。「旦那さんどんな人?」と聞かれた時に「うち、母子家庭なんだよね」とは言いやすいが、いきなり「我が家は母子家庭なんです」とカミングアウトしたところで相手が引くのでは……と心配になるもの。

確かに相手の動揺を誘いたくないなら自らいきなりカミングアウトするべきではないかもしれない。ただし、ある程度気心知れた間柄になってきたら、自分の方から「旦那さんどんな人?」と聞いてみて、相手から「そっちは?」と聞かれるタイミングを待つのが自然で良いだろう。

偏見を避けるためには【子どもにマナーを身に付けさせる】

母子家庭である以上、母親に対する偏見の目に関してはある程度諦めるのも1つの手段である。しかし、子どもへの偏見の目は何としてでも阻止せねばならない。そのためにも、子どもにきちんとしたマナーを覚えさせておこう。

シングルマザーである以上、子どもが友人の家に遊びに行くこともあるだろう。その際は、自分のお茶とお菓子を持って行かせる。これをしておくだけでも友人の親の印象もガラリと変わる。

  • 友人の家にお邪魔する場合は靴下を必ず履かせる
  • 相手の家の冷蔵庫や他の部屋を勝手に開けない
  • 親には「です」「ます」などの敬語を使う
  • 帰る前は片付けを行う

これらの必要最低限のマナーは覚えさせよう。「母子家庭だから子どももだらしない」ではなく「母子家庭なのにしっかりしている」と子どもと同時に母親の評価も上がる。

総括:母子家庭の偏見に負けない強い心をもとう

記事のポイントをまとめよう

母子家庭にはさまざまな偏見が付きまとう

  • 母親の性格に難がありそう
  • 生活が貧しそう
  • 子どもがかわいそう

母子家庭の偏見が引き起こす弊害

  • シングルマザーは正社員になれない
  • シングルマザーが気持ち悪いと揶揄されることもある
  • 母子家庭への偏見が強い人との結婚は難しい

母子家庭への偏見に立ち向かうには

  • 死別の場合は正直に言うべきだが、むやみやたらに周りに広めない方が良い
  • 離婚の場合、原因が自分・夫によって言い方を変えるのが得策
  • 下手に隠すより自ら母子家庭だとカミングアウトするのもアリ
  • 子どもに必要最低限のマナーを覚えさせておく

 

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