母子家庭の生活費:高校生がいる場合のシミュレーション・足りない!

母子家庭の生活費:高校生

近年更に増えつつある母子家庭。

母子家庭とは、何らかの理由で父親がおらず、文字通り母親とその子供で形成される家庭のことだ。

離婚率の増加により、ひと昔前と比較するとそんなに珍しいものではないかもしれない。

しかし、それでも両親が揃っている家庭と比較すると、何かと苦労が多いイメージがある。

母子家庭に暮らす子供や母親は、実際はどのような生活を送っているのだろうか。

この記事では、高校生の子供を持つ母子家庭に焦点を当てて、受けられる制度や生活にかかる費用などを調査した。

記事の内容

  • 母子家庭の生活費:高校生について【割合は?】
  • シングルマザーで高校生の子がいる場合
  • 受けられる手当・制度
    児童扶養手当
    母子父子寡婦福祉資金貸付金制度
    ひとり親家庭住宅支援資金貸付
    高校生等奨学給付金
    高等学校等就学支援金制度
  • 母子家庭の生活費シュミレーション(高校生がいる場合)
    ◆収入状況
    ◆生活費用
  • 生活費が足りない?
  • 母子家庭の生活費:高校生は辛い生活を送っている?
    Aさん 高校生
    Bさん 社会人
    Cさん 主婦
  • 政府の一人親に対する生活支援等
    母子・父子自立支援員による相談・支 援
    ひとり親家庭等日常生活支援事業
    ひとり親家 庭等生活向 上事業
    母子生活支援施設
    子育て短期支援事業
  • 母子家庭に大学生がいる場合の生活費シュミレーション
    ◆収入状況
    ◆生活費用
  • 統括

執筆:NAMOTO
母子の絆:困窮する母子家庭の救済・一人親の支援

母子家庭の生活費:高校生について【割合は?】

厚生労働省の平成28年度における全国ひとり親世帯等調査によると、母子世帯で15~17歳のいる世帯は21.5%と最も高かった。

次いで12~14歳が20%となっている。

また、母子家庭に至った際の年齢においては、小学生以下の比較的幼い時期が多い。

つまり、今現在もしくは将来的に高校生の子供を養育する母子家庭の割合がかなり高いということが分かる。

参考:平成28年度全国ひとり親世帯等調査結果報告

母子家庭の生活費:高校生について【割合は?】

シングルマザーで高校生の子がいる=受けられる手当・制度

シングルマザーで高校生の子がいる=受けられる手当・制度

ここでは、母子家庭で受けられる制度や手当についてご紹介しよう。

児童扶養手当

対象

18歳以下(18歳に達する日以後の最初の3月31日まで)の子を養育し、生計を共にする父親や母親等。

支給額

1人目:43,160円※

2人目:10,190円※

3人目:  6,110円※    ※全部支給の場合

支払期日

1月、3月、5月、7月、9月、11月

母子父子寡婦福祉資金貸付金制度

対象

子を扶養する母親もしくは父親等

貸付金種類

事業開始資金、事業継続資金、修学資金、技能習得資金、就業資金、就職支度資金、医療介護資金、生活資金、住宅資金、転宅資金、就学支度資金、結婚資金

利子

種類や連帯保証人の有無によって異なり、無利子もしくは年利1.0%

ひとり親家庭住宅支援資金貸付

対象

児童扶養手当受給者で、目的に向けて意欲的に取り組んでいる者

貸付金額

原則12か月間、住んでいる自宅の家賃の実費(上限4万円)

利息

無利子

高校生等奨学給付金

対象

生活保護世帯、住民所得税割非課税世帯

年額給付金

生活保護世帯(全日制等・通信制):国公立32,300円 私立52,600円

非課税世帯(全日制等)第一子:国公立110,100円 私立129,600円

非課税世帯(全日制等)第二子以降※:141,700円 私立150,000円

非課税世帯(通信制・専攻科):48,500円 私立50,100円

※15歳以上23歳未満の兄弟姉妹がいる場合

高等学校等就学支援金制度

対象

平成26年度以降、高等学校等に入学する生徒(条件有り)

月額給付金※

公立高校

私立高校

全日制:9,900円

定時制:2,700円

通信制:520円

全日制:9,900円

定時制:9,900円

通信制:9,900円

※所得税や通学する学校によって異なる場合あり

手当はその家庭の状況や収入に応じて、条件や内容が変わる可能性がある。

また、自治体によっても独自の手当てや制度があるので、詳細を自身の住んでいる地域の自治体で確認するのがいいだろう。

母子家庭の生活費シュミレーション(高校生がいる場合)

実際に、高校生がいる母子家庭ではどのくらいの生活費がかかるのだろうか。

ここでは、モデルケースにより想定される生活費のシュミレーションを行った。

①離婚により母子家庭となり父親の支援があるケース

◆収入状況

家族構成

母親:45歳 会社員 

子:16歳 公立高校生

月収

150,000円(年収235万円※賞与等含む)

児童扶養手当

34,900円

父親からの養育費

40,000円

収入合計

224,900円

 

◆生活費用

食費

43,895円

家賃

57,023円

光熱費

14,133円

家具家事用品

5,250円

被服・履物

8,474円

保健医療費

5,358円

交通費・通信費

10,000円

教育費

38,115円

合計

182,248円

政府統計の数値で見ると、母子家庭の平均収入は215,250円、支出は193,099円となっているので、収入と支出の平均は共に20万円前後ということになる。

もちろん、これはあくまでもモデルケースなので、母親の職業や兄弟の有無、住んでいる地域によってもだいぶ異なってくるだろう。しかし、平均やモデルケースから見ると、普段の生活には問題ないが、将来のための貯蓄に回すお金は少し厳しい可能性がある。

生活費が足りない?

先ほどのシュミレーションは、あくまでもモデルケースだが、高校生を育成している母子家庭では生活費が足りないこともあるのだろうか?

厚生労働省による調査によると、平成28年度時点では母子家庭全体の11.2%が生活保護を受給しているという結果になった。

つまり、100人中10人以上が自身や家族の収入だけでは足りていないということになる。

しかし残りの90人ほどは自身や家族の収入や、児童扶養手当などでやりくりができているということだ。

母子家庭では、母親の収入が主な生活源となるので、確かに生活費が足りなくなる可能性もある。

だからこそ、政府の手当てなどをきちんと把握して、うまく利用していく必要があるだろう。

母子家庭の生活費:高校生は辛い生活を送っている?

母子家庭の生活費:高校生は辛い生活を送っている?

母子家庭における高校生の生活はつらいのだろうか。

ここでは、実際に離婚などで母子家庭となった人たちの体験談をご紹介しよう。

Aさん 高校生

友達との会話の中で、父親の話題が出てくるとつらいと感じる。

両親がいる家庭を見ると、羨ましいと思うことも結構ある。

母が無理して働いているのを見たりすると、自分も悲しくなる時がある。

今ではとても幸せだし、母にもとても感謝している。

また、再婚をしなかったことについても、よかったと思っている。

Bさん 社会人

学生の頃は、父親がいなくてとても悲しかった。

母親が、だらしがない人だったので苦労した。

母子家庭だと母親がしっかりしていないと、子供は悲しい思いをすると思う。

Cさん 主婦

自分自身も兄弟もみんな母親には感謝している。

父親がいなくて寂しいと思ったことは一度もない。

下の兄弟の面倒を見たり、家事を手伝ったりするのは大変な時もあったけど、今ではおかげで家事が完璧にできるようになってよかったと思っている。

母子家庭においては、やはり母親とどのように過ごしたのかが大きく関わってくるようだ。

母親が無理していたり、または性格的に弱い部分があったりすると、子供はつらい思いをすることも多い。

しかし、ほとんどの人は母親に感謝しているようだ。

父親がいなくて寂しかったり、つらい思いをすることもあるようだが、大人になると母親への感謝の気持ちがより一層強くなっているように思う。

母子家庭においては、父親がいない分、経済面や子供の教育面でも、母親への負担が大きくなる。

サポートできる家族や、友人がいる場合には積極的にサポートするべきだろう。

また、政府や自治体でのサポートもあるので、大切なのは母親一人で無理をせずに、頼れるときは誰かを頼ることだ。

政府の一人親に対する生活支援等

ここでは、母子家庭において周りに頼れる人がいない場合に、政府から得られる支援等をご紹介しよう。

母子・父子自立支援員による相談・支 援

ひとり親に対して、生活一般についての相談や支援、求職活動等についての相談など様々な支援を行ってくれる。

ひとり親家庭等日常生活支援事業

母子家庭などにおいて、修学や疾病などで生活支援や保育サービスなどを行ってくれる。

ひとり親家 庭等生活向 上事業

下記の4つの事業を行う。

  1. 相談支援事業/育児や家事などの相談に応じ、助言や指導を行う
  2. 家計管理・生活支援講習会事業/家計管理、子供のしつけなどに関する講習会の実施
  3. 学習支援事業/高校卒業程度認定試験のために、ひとり親家庭の親に学習支援を行う
  4. 情報交換事業/ひとり親家庭同士の情報交換の場を設ける

母子生活支援施設

母子家庭の母親と子に対して、保護目的として生活の場を提供し、自立支援を行う。

施設には、浴槽やトイレ、調理設備付きの母子室が1世帯につき1部屋与えられる他、集会場や保育所に準ずる設備、医務室などがある。

子育て短期支援事業

保護者の疾病などにより、一時的に子供を養育することができなくなった場合等に、児童養護施設等で一定期間、養育と保護を行う。

政府からも様々な支援プログラムが提供されているので、ひとりで悩まずにこのような制度を積極的に使っていきたい。

母子家庭に大学生がいる場合の生活費シュミレーション

母子家庭に大学生がいる場合の生活費シュミレーション

母子家庭において、子供が高校卒業後に、大学に進学したいとなった場合、経済的には可能なのだろうか?

ここでは、モデルケースにより大学生にかかる費用をシュミレーションした。

離婚により母子家庭となり家族より支援があるケース

◆収入状況

家族構成

母親:50歳 会社員

子:19歳 私立大学

月収

母親:180,000円

子:アルバイト 66,000円

家族からの支援費

20,000円

合計

266,000円

 

◆生活費用

食費

50,000円

家賃

60,000円

被服・履物

10,000円

光熱費

12,000円

保険医療費

10,000円

交通・通信費

15,000円

学費等

55,558円

娯楽

20,000円

合計

232,558円

JASSOの平成30年度学生生活調査 によると、大学生の平均支出は116,558円となっている。

これに母親の生活費用を足したとしても、十分生活は成り立つだろう。

大学生になると、アルバイトを始める人も多く、自分自身のこづかいや携帯料金などはそこから支払うことも多い。

また、場合によっては奨学金も利用できるので、子供が実家で暮らす場合は、母親の負担も軽くなると可能性が高い。

しかし、大学進学する場合、地元ではなく遠方の大学を選択することも多いだろう。

そのような場合は、ひとり暮らしを余儀なくされることもある。

母親が十分な仕送りができない可能性もあるので、奨学金やアルバイトの時間を少し増やす等の工夫が必要かもしれない。

そもそも大学生ともなれば、もう子供ではないので、自分の学費は自分で稼ぐくらいの心意気を持たせるくらいでちょうどいいのかもしれない。

※上記を参考に1ヶ月分の生活費を算出

統括:母子家庭における高校生養育の生活費や状況

記事のポイントをまとめておこう。

  • 政府や自治体からの手当てが利用できる
  • 平均収入や支出を見ると十分に生活できる
  • 100人中10人ほどは生活費が足りない
  • つらいと感じる子もいる
  • 政府や自治体の支援が利用できる
  • 大学への進学も可能

高校生の子を持つ母子家庭でも、政府や自治体の制度を利用し、計画的に生活費をやりくりすれば問題なく生活ができる。

母子家庭においては、母親と子供の関係がより重要になってくる。

父親がいない分、母親の存在が子供にとっては全てになるので、母親にとっての負担はかなり大きい。

しかし、母子家庭だからこそ得られる経験や、知識などもある。

幼い頃から、母親の手伝いをすることにより、自立心が芽生えるのが早かったり、家事などを早い段階でできるようになるなどだ。

子供にとっては父親がいないことで、つらいと感じる時期もあるかもしれない。

だが、母親が悲しんでいたり、無理をしていたりすると子供は余計に父親がいないことを負い目に感じてしまう可能性がある。

経済面または精神面などで母親の負担は大きくはなるが、一人で無理をせずに、家族や友人、政府や自治体のサポートは積極的に受けるのがいいだろう。

母親が幸せでいることは、母親自身の問題だけではなく、子供の幸せにも繋がってくるのだ。

利用できる制度や手当をうまく使って、母子家庭であっても負い目を感じることなく、充実した生活を送れるようにしたい。

 

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