日本国は国連の分類では、高い工業化を成し遂げ生活水準の高い、経済の大きく発展した「先進国」です。
当然その中でも貧富の差は存在しますが、ある意味日本人は「生まれながらにして高いスタートラインに立っている」と言えます。
しかし世界を見渡すと先進国ではない、いわゆる「発展途上国」と分類される国の方が圧倒的多数です。
生まれながらの貧困に苦しみ、あるいは紛争に巻き込まれるなど、大変な思いをされている人たちが大勢いるのです。そんな「発展途上国」を助けることを我々はできるのでしょうか。国際貢献について、とくに「仕事」を通じて考えてみましょう。
記事の内容
- 発展途上国を助ける仕事
それはどのような国か - 分類の仕方が曖昧な「発展途上国」
- 発展途上国間でも存在する大きな差
- 発展途上国での暮らし
- 発展途上国を助ける仕事:人を助ける仕事とは
- 発展途上国を支援する仕事
- 発展途上国で働いてみる
- 貧困と子供たち
- 発展途上国の子供たちと仕事
- 海外で子供を支援する仕事
- 恵まれない子供を助ける仕事
- 発展途上国を助ける仕事:支援は世界に貢献できる
- 総括
執筆:KOJI
母子の絆:困窮する母子家庭の救済・ひとり親の支援
発展途上国を助ける仕事!の前に【それはどのような国か】
よく聞くことのある「発展途上国」という言葉ですが、具体的にはどのような国を表す言葉なのでしょうか。単に「発展途上国」といっても実態は掴みにくく、実はその中でも大きな差が存在しているのです。まずは発展途上国とはどのようなものなのか、その実態を知るところから始めましょう。
分類の仕方が曖昧な「発展途上国」
皆さんは「発展途上国」と聞いてどのような国をイメージするでしょうか。この発展途上国という分類は明確で決定的な基準があるわけではなく、国際連合や世界銀行などそれぞれが「発展途上国」にあたるであろうカテゴリの定義を持っています。
それでも一般的にはOECD(経済開発協力機構)が発表している「ODA(政府開発援助)受け取り国リスト」に記載されている国や地域が発展途上国と言われています。しかしこのリストでは「発展途上国=先進国以外」となってしまい、多くの人がもつイメージと違いが大きいと言えます。なぜなら今やGDP世界第2位となった中華人民共和国もこのリストに入っているのです。
これについては当然のように異議を唱える国もあり、アメリカ合衆国は「国際的な取決めを遵守しないための言い訳として発展途上国としての地位を利用している国がある」と批判しています。
発展途上国間でも存在する大きな差
発展途上国と言われる国家や地域ですが、それらの中でも豊かさや治安などで大きな格差が見られます。21世紀以降に大きく経済発展を遂げ、一時期「BRICs(ブリックス)」ともてはやされたブラジル・ロシア・インド・中国も、分類では未だに発展途上国です。
これらのように経済が発展し、けっして貧しいとは言えない国がある一方で、「後発開発途上国」「最貧国」といわれるような非常に貧しい発展途上国も存在します。これらの国は国際連合によって正式に「後発開発途上国(LDC)」として認定され、各種開発支援を受けています。LDCの基準は3点あり「所得水準が低い」「人的資源に乏しい」「外的ショックに対し経済的に脆弱」というものです。
具体的には「一人当たりの国民総所得が3年平均で1,025(アメリカ)ドル以下」という低所得であり、「栄養不足人口が多く、5歳以下乳幼児死亡率が高く、中等教育就学率・成人識字率が低い」うえに、「農産物の生産性も低くサービス業が発達しておらず、天災に弱い経済」という、イメージ通りの貧しい発展途上国です。
我々が考える「助けなければならない発展途上国」とは、これらの国もしくは、これらに近い国と言えます。
発展途上国での暮らし
とくに貧しい発展途上国の暮らしとは、果たしてどのようなものなのでしょうか。LDCに分類されるような国にはいくつかの特徴が存在し、それらが国民の貧しい暮らしに直結しているケースがほとんどです。
アフリカやアジアの内陸部や、オセアニアなどの島嶼部などのように、地理的な要因により持続的経済発展が困難なケースもあれば、内戦や外国の影響による行政機能不全などもります。いずれにせよインフラが未整備で、自然災害に弱く、常に飢餓や死と隣り合わせの生活を強いられます。
日本でも近年「貧困の連鎖」という言葉が聞かれますが、それと比べようもないレベルの「貧困の泥沼」ともいえる環境がそこにはあります。
発展途上国を助ける仕事:人を助ける仕事とは
「人を助ける」といっても様々な貢献方法があるものです。とくに発展途上国の支援というとユニセフなどに代表される支援機関への寄付が思い浮かぶのではないでしょうか。安易ではあるものの、支援活動にはお金が必要であり、金銭的な援助というのは大きな選択肢です。
しかし寄付などではなく、実際に現地に赴くなど「仕事」として貢献する方法もあるのです。なかなか一般的ではないのですが、発展途上国を助ける仕事とはどのようなものなのか、とりうる選択肢の数々を解説していきます。
発展途上国を支援する仕事
発展途上国を支援し貢献できる仕事とはどのようなものがあるでしょうか。実はそれらの仕事は意外と多く存在しており、国が関わるような大きなものから、ボランティア団体が実施しているような小さなものまで多様な仕事があります。
そこへ入ることが難しいかもしれませんが、大きなところから上げていくと外務省や独立行政法人国際協力機構(JICA)に入るという方法があります。役割分担でいうと外務省が政府の定めた方針に従いプロジェクトの立案を行い、JICAがそのプロジェクトを現地に赴き実施しています。これらは営利目的ではない、純粋な発展途上国支援ができるという点がメリットと言えますが、なによりそこへ身を置くことの難易度が高い点がデメリットです。
また同じく公的な仕事として「国際公務員」という道もあります。これは国際連合や国際児童基金(ユネスコ)などの国際機関で働き、発展途上国を支援するというものです。これも簡単にはなれるものではありませんが、日本の機関と同じく大きな発展途上国支援に携われる仕事です。
民間企業でも発展途上国支援に携わることも選択肢の一つです。商社を含め海外と関わりのある企業は多いので、営利活動の一環ではあるものの発展途上国の支援につながる仕事ができます。ただ公的機関と違い営利企業であるため、どうしても色々な制約を受ける可能性があります。各企業は国際貢献活動を積極的に広報しているので、それらを確認すると良いでしょう。
発展途上国で働いてみる
大きなプロジェクトではなく、実際に発展途上国へ赴き現地で働くということは可能なのでしょうか。現地に行き発展途上国支援のために働くのなら、非政府組織(NGO)へ身を投じることが一番の近道かもしれません。
国際活動をするNGOは世界に1万7千以上あるといわれており、活動内容もそれぞれ特色があります。似たような組織でNPO(非営利組織)がありますが、日本においては国際活動を行う団体をNGO、国内活動が中心の団体をNPOと呼ぶ傾向があります。
どちらかというと「草の根活動」が中心のNGO活動ですが、発展途上国の支援という意味ではとても重要な役割を担っています。
貧困と子供たち
発展途上国の支援に取り組むと避けては通れない問題が「子供の貧困」です。
寄付を呼び掛ける多くの団体の広告でも目にする光景ですが、ここでは発展途上国のなかの子供にスポットを当てて考えてみます。
発展途上国の子供たちと仕事
発展途上国では「生きていくため」に多くの子供たちが仕事(労働)に従事しているのです。187か国が加盟(2019年3月時点)している「国際労働機関(ILO)は、「児童労働」の定義を定め、その禁止を求めているのですが、発展途上国ではその実現が難しい現状が報告されています。
児童労働の定義は2つあり、「15歳未満の労働」と「18歳未満の危険で有害な労働」です。15歳未満というのはILOが言うところの「義務教育が終了する年齢を下回ってはならず、また、いかなる場合にも15歳を下回ってはならない」という最低限の基準です。ただ例外があるのが微妙なところで「最貧国」であれば軽労働に限り「13歳以上」にも認めるとしています。
さて問題の”危険で有害な労働”です。これが何を指しているかというと「児童の買売春」や「児童ポルノへの利用」「お酒を伴う接待」など、性犯罪につながる行為、そして強制労働を含めた危険な作業などです。一概に言えないものの、少なくとも先進国の理解では犯罪行為という範疇のものなので、そのような基準では禁止も致し方ないことなのでしょう。
しかし真に問題なのは、そのようなことでしか生きられない発展途上国の子供たちが置かれた境遇です。
海外で子供を支援する仕事
発展途上国の子供にとって必要な支援はさまざまです。しかし実際に出来うる分野は限られているのも事実で、民間団体が紛争解決や平和構築まで支援できるわけでもありません。NGOなど民間団体が行う支援で一般的なものは、「教育」「食料」「衛生」などの分野です。
食糧支援は物質的な支援であり、国際機関なども積極的に行っています。一方で教育や衛生などの支援は発展途上国や地域によりニーズが異なり、大きな組織より小回りの利くNGOなどのほうがきめ細やかな支援を行えます。また教育とともに子供たちを犯罪などの誘惑から守る支援も必要になるでしょう。関わるべきことは多岐にわたるのです。
発展途上国の子供を支援するということは、決して短期間で終わるものではなく長期間にわたって継続し、やがて支援を受けた子供たちがその国の未来を担っていくという素晴らしい貢献活動です。
恵まれない子供を助ける仕事
海外の発展途上国、とくに「後発開発途上国」は貧困が大きな問題です。とくにそのような困窮は子供のような社会的弱者へ多くの負担を強いるもので、その日の食糧すらままならない子供が多く存在しているのです。
その支援のためには「資金」が必要で、その資金を募る寄付に関わることも立派な支援活動と言えます。ユニセフが代表的かつ有名な寄付先ですが、その他のも多くの団体が寄付を募り、発展途上国の子供を支援する活動を行っています。自身が寄付するだけではなく、そのような団体のお手伝いも”恵まれない子供を助ける仕事”です。
総括:発展途上国を助ける仕事:支援は世界に貢献できる
発展途上国を支援する仕事というのは、なにも「その国だけに貢献」するのではなく、経済的にも正常的にも不安定な国を支援することによって、結果的に国際的な不安定要因を減らすことになり、世界に貢献できる仕事なのです。
日本も第二次世界大戦の敗戦後、多くの国の支援を受け復興し発展することが出来ましたが、「情けは人のためならず」という言葉のとおり日本のためでもあるのです。
世界の中では恵まれた環境にいる我々日本人です。しかし国際的で広い視野を持って見渡すと、今も困窮している発展途上国とそこに暮らす人々がいます。そこへ支援を届けるということに関心を持ち、そこへ携わっている人々へ感謝の気持ちを持ちましょう。