ホームレスを助ける方法:支援や我々にできること【寄付も可】

「ホームレス」という言葉を聞いて皆さんはどんな人を想像するでしょうか。これまでのイメージだと、中高年の男性で伸び放題の髪の毛に、日に焼けた不清潔な人というのがホームレスの姿でした。

実はこれは狭義のホームレスであって、厚労省の調査と実態とは乖離があるようで、現在はホームレスであることが分かりにくいうえ、女性ホームレスも増えています。

ホームレスを助ける方法

しかも誰もがちょっとしたきっかけでホームレスになりうる世の中になっているのです。今回はそんな「現代のホームレス」を同じ日本人として救う方法や、誰でもなりうるホームレスの実態について解説します。

記事の内容

  • ホームレスを助ける方法:現代日本の実態
  • 国による定義
  • ホームレスの歴史
  • 近年みられる変化
  • そうなってしまう原因や理由
  • ホームレスを助ける方法:支援について
  • 見かけたらどうすればいい?
  • 生活保護を受けるために住所は必要か
  • 住居支援について
  • 寄付という支援
  • 抜け出す方法を考える
  • 正しい情報を得て公的支援を活用すべき
  • この問題に対しできること
  • 総括

執筆:KOJI
母子の絆:困窮する母子家庭の救済・ひとり親の支援

ホームレスを助ける方法:現代日本の実態

先ほども触れたように、最近のホームレスは「実態が掴みにくく」、そして簡単にホームレスいなってしまう社会の変化が起こっているのです。

ホームレスを救うために、さらには自分自身がホームレスにならないために、過去から現在にかけての実態を知ることが重要です。

ホームレスを助ける方法:現代日本の実態

国による定義

ホームレスとはどんな人を指す言葉なのでしょうか。日本の法律「ホームレスの自立の支援等に関する特別措置法(ホームレス自立支援法)」によれば、「都市公園、河川、道路、駅舎その他の施設を故なく起居の場所とし、日常生活を営んでいる者」と規定されています。

この法律は2002年8月に当時社会問題化していた路上生活者(いわゆる狭義のホームレス)への国の責任を認め、総合的な支援体制を構築する初めての法律でした。

この法律が施行された結果、厚生労働省の「ホームレスの実態に関する全国調査」によると、2003年の調査では全国で25,296人のホームレスが確認されていたのが、2020年の調査では3,992人と大幅に減っていることが分かります。また昨年の調査によれば3,992人のうち男性が3,688人、女性が168人、不明136人と圧倒的に男性、しかも中高年男性が多いという結果でした。

このことから想像がつくように、一般的にホームレスが持たれるイメージ「中高年男性の路上生活者」ということが、この「ホームレス自立支援法」と、それに基づく調査や支援活動によって形作られてきたことが分かります。

ホームレスの歴史

日本においてホームレスが増加した最初の事例は、第二次世界大戦の日本敗戦にともなう「空襲などで住居を失った人」と「戦災孤児」による路上生活者の問題です。

全国調査では戦災孤児だけで約12万人いたのです。

当時そのような境遇の人たちは「浮浪者(震災孤児は浮浪児)」と呼ばれ、国の施策や民間団体の支援により減少していきましたが、完全に解決することはありませんでした。

ホームレスの歴史

時代をへて昭和の末期から平成の初めにかけてホームレスは「迷惑な存在」として考えられ、「街の美観をそこなう押し出すべき人間」とすら思われていました。少年らによるホームレス襲撃事件などは、このような背景があったから起きた悲劇です。

減っていたホームレスが再び明確に増加に転じたのは「バブル経済崩壊」と、その後長引いた不況の影響によってでした。東京都福祉保健局が行った1998年の調査では、東京都内だけで4,295人のホームレスがいるとされ、ようやく社会問題として行政が関わっていくようになったのです。

近年みられる変化

先ほど紹介した厚生労働省の「ホームレスの実態に関する全国調査」のとおり、ステレオタイプのようなホームレスは減少してきました。

そのような”狭義のホームレス”に対して行政が民間団体などと協力して自立支援を行ってきたからです。

近年みられる変化

しかし、そのような「見てすぐ判る」ホームレスが減る一方で、新しいホームレスの存在が問題化しつつあるのが現状なのです。

従来型の「公園などで定住するホームレス」ではなく、何らかの事情により経済的苦境に陥り、友人宅や安宿または「ネットカフェ」や「まんが喫茶」などの深夜営業店を転々とする「流動化したホームレス」です。

有名な「ネットカフェ難民」のような新しいタイプのホームレスは、従来行われてきた厚生労働省の調査には反映されず、このような「広義のホームレス」への対策は後手を踏んでいるのが現状だと言えます。

また日本においては核家族化の進行や、地域コミュニティの崩壊などによる「相互扶助」というセーフティーネットが期待できなくなっていることも、新しいホームレス増加の一つの原因だと考えられます。

より実態に近い調査によるとネットカフェ利用者のうち約3,000人が定住地をもたないホームレスで、女性や若年層の比率も増加していることも分かっています。SNSなどを通じた安易な出会いから犯罪に巻き込まれやすいという点も危惧されており、国や行政による実態に即した対策が望まれるところです。

そうなってしまう原因や理由

ホームレスになってしまう理由や原因ですが、男性と女性では多少の違いが見られます。2017年に厚生労働省が発表した資料によると、男性では「倒産や失業」「仕事が減った」という2つで51.1%にもなります。一方女性では、「家庭内のいざこざ」が18.9%と最も多くなっています。ただどちらにせよ、最終的には金銭的な行き詰まりが一番の問題となります。

では「ホームレスにならない」ために気を付けるべき点は何なのでしょうか。一番重要なのは「生活保護」などの公的支援を知っておき、ホームレスになってしまう前に躊躇せず制度を利用することです。

失業しても住居を確保できていれば、仕事を探すことに支障はでませんが、住所不定になってしまうと求職の難易度は格段に上がってしまいます。またホームレスになってから公的支援を受けることもハードルは高くなってしまうのです。

ただ失業など経済的事情であればまだしも、配偶者のDVなどにより家にいられなくなるケースの場合、家を飛び出した瞬間ホームレスになってしまう可能性が高く、相談窓口である各都道府県に設置されている婦人相談所も対応が十分ではないと指摘されています。

そう考えると「公的支援」とともに、親や兄弟を含め悩みや困ったことを相談できる人を、一人でも多く確保しておくことも極めて重要なことだと言えます。

ホームレスを助ける方法:支援について

ホームレスにとって一番の問題点が住まいを失っているということと、多くの場合公的支援も受けておらず、不安定な収入状況という複合的な問題が絡んでいます。そしてホームレスへの支援の最終的な目標は、自立した生活ができるようにすることです。

そんなホームレス支援について出来ることや必要なことについて、その難しさを含めて考えてみましょう。

ホームレスを助ける方法:支援について

見かけたらどうすればいい?

一目でそれとわかるホームレスは厚労省の発表のとおり減っています。とはいえ2020年でも3,992人のホームレスが確認されており、それとは分かりづらいホームレスに至っては正確な人数も分かりません。もしホームレスを見かけたり、実はその人がホームレスだと知ったりしたとき、何ができて何をすれば良いのでしょうか。

正直なところ厚労省の定義する「狭義のホームレス」の場合、声をかけることに躊躇するでしょうし、支援団体に連絡するなり最終的には行政の力を使うべきでしょう。

もし先ほど解説した「広義のホームレス」や、そのような立場に陥りそうな人を知った場合はどうでしょうか。その時にも話を聞いてあげた上で、公的支援を受けるべきことを伝えるべきで、けっして中途半端な知識でアドバイスをするべきではありません。

都道府県だけではなく、多くの市町村でホームレスやホームレスになる恐れのある人向けの相談窓口があり、そこへの連絡を勧めるのが正解と言えます。

生活保護を受けるために住所は必要か

ホームレスといっても広い意味で考えると様々なパターンが存在し、未成年の家出人も広義のホームレスです。しかし多くの人は住むところもなく、収入も限られているので生活保護の対象になる人です。

また誤解されている方も多いようですが、ホームレスで居住場所がなくても、また住民票のある市町村ではなくても生活保護は受けられます。生活保護の申請を行うためには、「今いる市町村」の福祉事務所へ事前相談を行ったうえで申請手続きをします。また住む場所がない場合でも申請時の前日の寝泊まりした場所を記載して申請できます。

「前泊主義」というのですが、極端な話前夜に市役所の駐車場なんかで過ごした場合、露天生活者だと伝えたうえで市役所の住所で申請することになります。

住居支援について

いちど住所をなくしてしまうと、そこからは就職にしても支援を受けるにしても困難なことが多くなってしまいます。そんなホームレスへの支援事業の一つに「ホームレス緊急一時宿泊事業」があります。これは住居をもたない方やネットカフェ宿泊を続けているなど、不安定な住居形態にある方に、緊急的に一定期間、宿泊場所や衣食を提供するという内容です。

原則3か月以内の利用なので、その間に就職や新しい居住先など自立へ向けた取り組みをしなければなりません。

こうした支援事業がある一方で、それと似通ったサービスと見せかけた悪徳な「貧困ビジネス」も存在しているので注意が必要です。社会福祉法第2条第3項第8号に規定する「無料低額宿泊所」を運営している事業者の中には、生活保護受給者のホームレスを入居させ、生活保護費の中から家賃・食費・その他経費の名目で、お金を巻き上げ「貧困の固定化」で暴利を貪っている悪徳業者がいるのです。

寄付という支援

よく欧米に比べて日本では寄付文化が根付かないと言われます。それらしく「文化の違い」と言われたりもしますが、確かにキリスト教圏における寄付の文化を日本とでは違いがあるでしょう。しかし意外と大きな要因は欧米(特にアメリカ)では寄付をすることで受けられる税制優遇が大きいのです。

それはともかく、直接的な支援は難しくとも、自分が行った寄付を原資として支援活動をしてもらうというのも、立派なホームレス支援です。寄付先ですがホームレス支援活動をメインで行っているNPOが多く存在しており、ネットなどでも簡単に情報を入手できますので、ホームレス支援に興味があるのなら調べてみましょう。

抜け出す方法を考える

ホームレスの現状と手助けについて解説してきました。ここまで考えていくと、ホームレスから抜け出すのはそう簡単なことではないことが分るでしょう。

ホームレスから抜け出すより、ホームレスにならないよう取り組むことの方が「より良い方法」です。

しかしホームレスになってしまった時、そこから抜け出す方法は考えておかねばなりません。

抜け出す方法を考える

正しい情報を得て公的支援を活用すべき

当り前のことですが、ホームレスになってしまったら自力で抜け出すのは非常に困難です。必ず人の助けが必要となるでしょう。「人に迷惑はかけられない」などと思わず、「社会復帰して恩返しをする」くらいの考えをもって、恥などと考えず手助けを受けましょう。

ただ人の弱みに付け込もうとする悪徳業者もいるので、なにより正しい情報を得ることが大事です。ホームレスになってしまうと情報を得る手段も限られてしまうので、基本的には行政の相談窓口を第1選択肢とすべきです。

総括:ホームレスを助ける方法:この問題に対しできること

ホームレス支援について解説してきました。確かに厚生労働省が発表するように「明らかな路上生活者」は減ってきていますが、新たなホームレスの問題はコロナ過において拡大しています。

誰でも陥る可能性のある「ホームレス問題」なので、けっして他人事だとは思わず、ホームレスにならないため、またなった時の対策について考えておくべき社会問題と言えます。

 

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