不登校を助ける仕事!大学生のバイト、経験を活かす支援・資格など

不登校を助ける仕事

近年では不登校が増えている。文部科学省が発表した2020年度の「問題行動等調査」※では、不登校児の数は平成17年度に22,709人だったが、令和元年には53,350人に増加している。

それに伴い、不登校を支援する仕事の需要も増えている。不登校の仕事をしたいと思っている人は、教育の仕事をすることを志す人、不登校を支援する仕事をしたいと思っている人、不登校の経験があり今度は支える側にまわりたいと思っている人、兄弟や友だちに不登校経験者がいて力になりたいと思ったことがある人など、さまざまだ。

この記事では、不登校を支援する仕事にはどのようなものがあるのか、資格は必要なのか、必要な場合にはどのような資格を取ればいいのかを詳しく解説する。

参照:児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果の概要

記事の内容

  • 不登校を助ける仕事:支援には資格が必要?
  • スクールカウンセラー
  • 不登校支援員
  • 不登校支援カウンセラー
  • 不登校を助ける仕事:新卒でもできる職業
  • 不登校相談員
  • ひきこもり支援相談士
  • 大学生がアルバイトでできる不登校支援とは?
    塾の講師や家庭教師
    居場所スタッフ、プレリーダー
  • 不登校の話し相手になるバイトもある
    訪問サポーター
    メンタルフレンド・ホームフレンド
  • 不登校を助ける仕事:経験を生かす
    教員・養護教諭
    フリースクールのスタッフ
    不登校新聞の記者
    不登校時代に熱中したこと
  • 総括

執筆:MDK
母子の絆:困窮する母子家庭の救済・ひとり親の支援

不登校を助ける仕事:支援には資格が必要?

不登校を支援する仕事には、資格が必要なものと必要でないものがある。一般的に資格を求められているものには、不登校支援カウンセラーが挙げられる。その他の仕事では、求められている仕事内容によって資格が必要な場合がある。

また、資格には、必ず必要ではないが、持っていると仕事を探す際に多少有利に働く民間の資格がある。それぞれの資格について詳しく解説しよう。

不登校を助ける仕事:支援には資格が必要?

スクールカウンセラー

スクールカウンセラーは全国の小・中学校に配置されており、いじめを始めとする人間関係のトラブル、不登校、精神的不調、発達障害など、生徒が抱えるさまざまな問題をサポートする人のことだ。

文部科学省が平成7年度から全国に配置して実践研究を補助しており、平成18年度の調査では、90%以上の学校に配置がある都道府県もあれば、50%未満の都道府県もあることがわかっている。

スクールカウンセラーになるために必要な専門の資格はないが、一般的には無資格の人が採用されることはほとんどなく、心理学系の資格を持っている人が採用されるケースが多く見られる。

スクールカウンセラーが多く保有している資格には、「臨床心理士」「精神科医」「公認心理師:「大学教員」などがある。

参照:文部科学省・スクールカウンセラーについて

不登校支援員

不登校支援員は、文字通り不登校の児童を支援する人のことで、多くの自治体が募集をしている。

求められる資格は、自治体によって異なり、例えば令和3年度に東村山市で募集された不登校支援員は、教員免許の資格が求められているが、令和2年度に岡山市で募集された不登校支援員は、資格、学歴は問われていない。

自分が働きたいと思っている市町村の募集情報をよく確認することが大切だ。

不登校支援カウンセラー

不登校支援カウンセラーの資格には、「不登校訪問支援カウンセラー」がある。この資格は、一般財団法人日本能力開発推進協会が認定する資格で、不登校の児童や生徒、その保護者をサポートできる能力がある、と証明する資格だ。

ただし、この資格は民間の資格の上に、インターネットで情報を得ようとしても、この協会と不登校に関連する団体や人物の連携、実際にこの資格を使って不登校児のカウンセラーをしている人の情報も見当たらない。

持っていて損になったりマイナスになったりすることはなさそうだが、がんばって取っても役に立つ保証はない。取る必要はない、と断言できるほど確実な情報もないため、最終的には個人の判断にまかせられているが、あまりおすすめはできないので、注意が必要だ。

不登校を助ける仕事:新卒でもできる職業

不登校を助ける仕事:新卒でもできる職業

新卒でもできる不登校を支援する職業には、次のようなものが挙げられる。

不登校相談員

不登校相談員は、一般社団法人ひきこもり支援相談士認定協議会が認定する資格のことだ。文字通り、不登校の当人や家族に対して訪問支援をはじめとする支援活動を行っている。

上記で紹介した不登校支援カウンセラーと同様、民間の資格であるが、こちらはひきこもりに対する講演会や学習会などの活動を行っている「全国引きこもりKHJ親の会」が構成団体として名前を連ねており、家庭教師センターでこの資格が紹介されているので、怪しい資格ではないようだ。

インターネットで検索したところ、「不登校相談員」の資格を生かして活動している人も見受けられた。ただし、この資格があれば絶対に就職できる、というものではなく、就職活動の際に履歴書に書いてアピールすることができる資格であることを理解しておく必要がある。

ひきこもり支援相談士

ひきこもり支援相談士は、上記の不登校相談員同様、一般社団法人ひきこもり支援相談士認定協議会が認定する資格のことである。

ひきこもりの回復へのはじめの1歩として、若者の居場所やグループホームなどの中間施設とひきこもりの当人を繋ぐなど、ひきこもりの人に第三者として寄り添って支援をすることを目的としている。

ひきこもり地域支援センターや支援関連施設、ボランティアへの参加、有償活動などで活躍が期待されるが、この資格もまた、絶対のものではない。

大学生がアルバイトでできる不登校支援とは?

大学生がアルバイトでできる不登校支援とは?

不登校を助ける仕事は、学校を卒業して就職しなくてもアルバイトでできるものもある。大学生がアルバイトでできる不登校支援には、次のようなものが挙げられる。

塾の講師や家庭教師

学校へ行くことができないが、塾へは行くことができる場合もある。また、自宅でなら勉強できることもあり、家庭教師をつける場合もある。
塾や家庭教師派遣会社によっては、不登校に対応しているコースを設けているところもあるので、採用されると不登校児の勉強のサポートが可能だ。塾や家庭教師になるための資格はないが、教育学科在籍であることや、教職課程を取っていると採用されやすい。

居場所スタッフ、プレリーダー

地元のNOPや企業が不登校の子どものための居場所を作り、スタッフや一緒に遊びながら子どもたちを導くプレリーダーを募集する場合がある。

問われる資格はそれぞれ異なっており、子どもの目線で遊ぶことができることが求められたり、大学生や大学院生であることが求められたりするため、採用条件をよく確認しよう。

不登校の話し相手になるバイトもある

不登校を助ける仕事には、不登校児の話し相手になるアルバイトもある。

訪問サポーター

不登校やひきこもりになると、自宅からでることができない子どもも多く見られる。訪問サポーターは、相談機関に行くことができない不登校児のために、自宅を訪問して一緒に遊ぶ、外出する、勉強する、悩み事を聞く、話をする、などのサポートを行う仕事だ。

訪問サポーターになるための特別な資格はないが、募集をしている施設によっては、臨床心理士であることや、教育課程を取っている学生であることが必要な資格となっているところもある。

メンタルフレンド・ホームフレンド

メンタルフレンドは、不登校の子どもや不登校の子どもの兄や姉、友だちのような役割をする人で大学生などにボランティア活動して求められている。

1991年より厚生労働省が始めた「ふれあい心の友派遣事業」※で、児童相談所や教育相談センター、大学研究機関、民間の支援機関などで実施されている。

ホームフレンドは、大学生に不登校の子どもの話し相手や遊び相手となってもらうボランティア活動で、各自治体から適宜募集されている。

参照:ふれあい心の友派遣事業

不登校を助ける仕事:経験を生かす

不登校になった経験がある人が、その経験を生かした仕事をしたいと思うこともある。その場合には、次のような仕事が考えられる。

教員・養護教諭

不登校になった時に学校の先生の対応に不満を覚えた子どもや親は多い。反対に親身になってサポートしてくれた先生に当たった場合もある。

不登校経験者は不登校になった子どもの気持ちがわかるので、不登校気味の子どもや不登校児が求めている対応ができやすい。また、生徒も先生が経験者だと知ると、心を許し信頼しやすくなる。

また、学校には行ったものの保健室登校をした、という経験がある人は多い。養護教諭は体調のすぐれない生徒だけでなく、心に問題を抱えている生徒のケアもしなければならない。不登校の経験を生かして、保健室に駆け込む生徒の役に立つことができる。

フリースクールのスタッフ

フリースクールのスタッフも、教員や養護教諭と同じような立ち位置を持つ。教員や養護教諭と異なり特別な資格は必要がなく、経験を優先させることも多く見られるが、教員免許を持っていると優遇はされることが多い。

教員資格は取れなかったが似たような仕事に就きたい場合は、フリースクールのスタッフを目指すといいだろう。

不登校新聞の記者

不登校の経験を生かした職業に就いた人の中には、不登校新聞の記者になった人がいる。不登校新聞は、日本でたった1つある不登校に関する新聞だ。

不登校の子どもの本音や親の体験記、親の会情報、学校以外の居場所情報などが記載されており、これまでに1,000人の子どもの声を載せている新聞だ。不登校の経験を生かすのには最適の仕事の1つと言えよう。

不登校時代に熱中したこと

不登校になると時間はたっぷりとあるため、自分の好きなこと、興味のあることに熱中した経験がある不登校児も多くいる。

例えば旅行が好きな人が旅行会社に就職したり、インターネットで情報を集めるのが得意な人がライターになったりしたケースがある。

特定のスポーツをするのにも見るのにも熱中し、不登校から大学に入学後はプロスポーツの運営スタッフやイベント企画をした人もいる。

総括:不登校を助ける仕事について

不登校は、近年増え続けている。いじめや発達障害などが原因となることが多いが、学校に行くことだけが学習の場ではない、という意識がようやく広がり、子どもが苦痛を抱え、場合によっては命にかえてまで行く必要がある場所ではない、という認識を持つ人が増えたことも要因の1つである。

学校に行くことだけが正解ではないが、不登校の子どもがこれからの人生を生きていくための支援は必要だ。
不登校児を助ける仕事は、資格が必要なものもあればなくても大丈夫なものもある。

自分にはどのような支援ができるか、どのような支援に携わっていきたいか、資格が必要な場合は持っているのか、などをじっくりと検討し、自分に合ったサポートを選ぶことをおすすめする。

 

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